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憲法改悪は動物愛護法を破壊する

 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年十月一日法律第百五号)は、法の目的として「平和の情操の涵養」を掲げています。ここでいう平和が、日本国憲法の目指す世界の恒久平和であることは論を待ちません。動物愛護法は、動物の命を尊ぶことを通じて、平和憲法の理念を具体化させていくことを目標に制定された法律なのです。

 平和憲法が破壊されたら、動物愛護法も連動して破壊されることになります。「9条」の否定は、動物愛護の否定に直結します。

戦争は動物たちに何をしたか

 9条破壊の改憲は、この国に再び戦争の惨禍をもたらします。ほんの数十年前の戦争が動物たち強いた残酷な犠牲の数々を、簡単に振り返ってみることにしましょう。 【1】動物も「徴兵」
 先の大戦で、日本軍は、のべ10万頭の軍用犬を使役していたと言われていますが、その多くが民間からの買い上げ、あるいは徴発された犬でした。徴発の命令が下されると、どんなに愛した犬でも、飼い主は「お国のため」に喜んで「献納」しなければならなかったのです。

 馬も多数「徴兵」されていきました。政府は「軍馬資源保護法」という法律を作り、馬の徴兵検査と言うべき検査を実施。これに合格し「軍用保護馬」に指定されると、所有者には軍の指示に従う義務が課せられました。戦局が激しくなるに従い、多数の馬が死地に送られていくようになりました。

 このほか、人間までが生体実験の材料にされていった戦時中。どれほどの動物が実験用に、また生物兵器用に犠牲にされていったか分かりません。ちなみに、21世紀の現在、ひとたび事故が起こればバイオハザードも起こしかねない巨大動物実験(殺戮)施設を作っている製薬会社は、「七三一部隊」の人脈をそのまま引き継いでいます。

【2】犬猫の供出
 軍用犬の徴発は、軍とつながる畜犬団体に登録しない、軍用犬に適さない犬種を飼うなどの方法で避けることも出来たようですが、犬猫を毛皮にして軍に献納するとの名目で行われた供出運動は、誰も拒むことが出来ませんでした。

 この供出運動は、「自発的な意思」による「報国の美談」作りとして始められたようですが、実際は町内会や警察機関、役場などが実施主体となり、「従わない者は非国民」と責められる強制的なものでした。さらに敗戦の前年である1944年12月には、軍需省化学局長と厚生省衛生局長の連名で供出を徹底させよとの通達が出され、完全な強制、犬猫の根絶やしとなっていきました。
「戦時中動物も犠牲になった」井上こみちさん
 (「犬の消えた日」「犬やねこが消えた―戦争で命をうばわれた動物たちの物語」の著者)


【3】戦時猛獣処分
 土家由岐雄氏の童話「かわいそうなぞう」で知られる戦時猛獣処分も忘れることは出来ません。最初の殺処分は、東京の上野動物園から始まりました。全猛獣を殺すべしという東京都長官(現在の知事に当たる役職)の命令に服する形で、ゾウ、ライオン、トラ、クマ、ヒョウ、ヘビなど14種27頭が、毒殺、ワイヤーロープによる絞殺、鎗を使った刺殺、刃物による頭部切断、餓死など、いずれも苦痛の激しい残虐な方法で殺されていったのです。上野を皮切りに、殺戮の嵐は全国の動物園におよび、さらにサーカスなどで使役されていた動物も根絶やしにされていきました。

 この戦時猛獣処分の意味について、当時から戦後まで上野動物園長を長く勤めた古賀忠道氏は、動物たちは危険予防のためにというより、危機意識を高め戦意を高揚させるために殺された、といった意味の述懐をしています。

 殺された動物の一部は、陸軍獣医学校が解剖実習に用いたり、剥製や晒し皮に加工されて軍に納めらました。動物たちは死してなお、軍国の犠牲とされていったのです。

【4】数え上げたらきりがない戦争の犠牲
 戦争は人々の心に残虐性を植え付けます。「この非常時に犬猫にくれてやる食料はない」と殺害を強制されたり、目の前で愛犬愛猫を殺されてしまった飼い主が、どれほどいたことでしょう。

 そうした困難をくぐり抜けて動物を守り通してきた人たちを、さらに空襲が襲いました。動物を連れては防空壕に入れません。大空襲では、人も動物も黒こげにされました。いったいどれほどの動物が、人間の起こした戦争の犠牲になっていったでしょう。

 動物園などでも、戦時猛獣処分のほか、飼料の確保ができず殺された動物、肉食動物の飼料にするために殺された草食動物や鳥類、冬に暖房が使えず死んでいった熱帯産の動物、空襲の轟音によるストレスで死んでしまった動物など、戦争の犠牲となった動物の悲劇を数え上げたらきりがありません。

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 「今は時代が違う、仮に戦争が起こってもそんなことになるはずがない」。そう言う人もいるでしょう。しかし、福島第一原発事故を考えてみてください。警戒区域はまるで軍事機密のように封鎖され、政府はまるで戒厳令下のような法的根拠も不明確な強権を発動、中に閉じ込められた何十万という動物を見殺しにしてきているではありませんか。

 しかも今の政治は、戦時中に動物の地獄を作り出してきた政治家に直結する世襲政治家が握っています。憲法改悪は、原発事故以上の、全国規模の動物の地獄を招きます。

憲法改悪阻止で、動物の命を守る政治の実現を

 そもそも、犬猫の殺処分などという残虐な制度を現在まで温存してきた政党はどこでしょう。
 殺処分とも直結する、儲け優先の過剰繁殖で命を軽んずるペット業界と癒着している政党はどこでしょう。
 動物実験業界と癒着し、動物の残虐な取り扱いを黙認し、さらに不要な動物実験を義務づけ推奨するなどして、儲けのための命の使い捨てに加担している政党はどこでしょう。
 そうした業界の政治献金に動かされて、動物愛護法見直しの都度、動物の命を守ろうとする改正の内容を骨抜きにしている政党はどこでしょう。
 毛皮業界と癒着して、世界の動物虐待を加速させる事業に補助金まで与える政治をしている政党はどこでしょう。
 福島の原発避難区域で今もなお生き残り助けを待っている動物たちの救出を無視し、民間の救出努力を妨害している政党はどこでしょう。

 憲法改悪をたくらむ政党を退けていけば、こうした様々な動物を苦しめる政治も一掃されます。動物を愛する全ての皆さん、憲法改悪阻止で意思統一していきましょう。そして、平和憲法と動物愛護法がいきいきと輝く社会を作りましょう。戦争の否定が、動物の幸せの根底です。

憲法問題 ミニFAQ

【Q】占領軍が押しつけた憲法は改正すべきではありませんか?
【A】安保からTPPまで何でもアメリカの言いなりになっている政権の主張に従って改憲したら、さらにひどいアメリカ押しつけ憲法になります。

【Q】集団的自衛権は、日本を守るために必要ではありませんか?
【A】アメリカ言いなりの政権が画策する集団的自衛権は、アメリカの行う戦争に加担するためのものにほかなりません。関わらなくても良い戦争に関わることで、むしろ日本の安全を危うくします。

【Q】それでも国防力はもっと強めるべきではありませんか?
【A】憲法は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と規定して、平和外交を国の守りの根幹とすることを宣言しています。平和を危うくする軍国主義を排することが、国防力を高める基盤を作ります。

【Q】外国に攻められたらどんな理想も水の泡ではありませんか?
【A】仮に世界屈指の軍事力を誇ったとしても、軍事攻撃を受ければ人が死に国土が破壊されます。そうした国際対立を起こさない政治こそが大切であり、攻められてから後の戦争の計画ばかりに熱心な政治は、むしろ国際緊張を高め日本の安全を危うくします。

【Q】古くなった憲法は変えるべきではありませんか?
【A】施行直後から「解釈改憲」が繰り返されてきた憲法を古いと非難するならば、当然、軍事偏重の解釈改憲も古いと否定されなければなりません。その時点で、解釈改憲の延長である改憲の主張も古いと非難されて、古くなった論は主張の意義を失います。

【Q】実情に合わない条項は改正すべきではありませんか?
【A】実情に合わない規則を改正することと、わざと規則を破っておいて、守りたくないから規則を変えろという我が儘とは異なります。現政権が画策する憲法改悪は後者です。

【Q】9条ではなく、96条を変える改憲ならいいのではありませんか?
【A】逆に、そういう誤魔化しで国民を愚弄する政治に、国の根幹である憲法を変えさせていいのかと問うべきです。

【Q】憲法を変えやすくすることが、憲法を国民のものにすることではありませんか?
【A】現政権が画策する憲法改悪が通ったら、国民の権利は著しく制限されてしまいます。改憲後の憲法こそ、国民の意思では改正不能の独裁憲法になってしまいます。

額に入れて掲示できる憲法前文、即印刷可