私達はなぜイルカ猟に反対するのか

【1】イルカは国際的に保護されるべき貴重な野生動物であること

国連は、2007~2008年の2年間を「国際イルカ年」として、イルカ保護推進に取り組みました。国連環境計画(UNEP)をはじめとする関係組織は、野生のイルカを地球上の「生きている宝」であると表現し、キャンペーンの後援を務められたモナコ公国のアルバート2世王子は
「国際イルカ年の宣言によって、私たちは新たに海の生物多様性を守ることに関与する機会を与えられました。私たちが先導して働きかけることで、すばらしい海洋哺乳類たちを絶滅の危機から救うことができます。」
と、イルカの保護が、海洋における全生物の保護につながることの意義を述べています。

国連が、野生イルカの絶滅を危惧する理由は、多岐にわたります。

  • 2006年12月に、中国の揚子江に生息するヨウスコウカワイルカの絶滅が確認されたこと。
  • 有害化学物質による海洋全体の汚染が進んでいること。
  • 世界各地のイルカの生息域の環境破壊が進んでいること。
  • 気候変動。
  • 軍事用ソナー、その他の人間の活動に起因する海中の騒音が深刻になっていること。
  • 船舶との衝突の頻発。
  • 漁業による影響。
    • イルカの餌となる魚の乱獲。
    • 混獲・誤獲・定置網にかかってしまう等の事故。
    • 故意による脅威としてのイルカ猟。

等々。これらの情勢により、イルカが健全に生息できる海を取り戻すこと、軍事から観光・漁業に至るまでの様々な人間の行為にイルカの生存を脅かさない配慮がなされること、それらを国際的協調をもって推進していくことが急務であると判断され、「国際イルカ年」が実施されたわけなのです。

【2】イルカ猟を国粋主義や政権の求心力維持の道具に使ってはならないこと

1991年末、ソ連崩壊。大きな「敵」を失った日本の右翼団体は、反捕鯨国を「新たな敵」とすることで、存在意義の回復に努めようとしました。1993年、京都においてIWC年次会議開催。ここに右翼団体は多数の街宣車やメンバーを送り込んで存在を誇示したのでした。9年後の2002年にも下関市でIWC年次会議が開催され、この時は全国の右翼団体が、なんと160台もの街宣車を集結させるという異常な事態となりました。

こうした右翼団体を支持基盤の一部としている自民党も、捕鯨に関する国際間の問題をまるで領土問題のように描き出し、捕鯨の推進を歪んだ「愛国心」の発揚に利用しようとしています。

イルカ猟に関しても事情は全く同様で、イルカ猟に反対する国内外の声を右翼団体が攻撃するというパターンがすっかり定着してしまっています。国粋主義のプロパガンダとして、また政権の求心力維持の道具としてイルカが殺されていくのは、どう考えても正しいことではありません。

このほかにも、様々な問題がイルカ猟反対の理由としてあげられていますが、一般的によく聞かれる、「牛や豚を殺して食うのとイルカを殺して食うことのどこが違う」という意見や、「イルカ猟反対者は反日」といった思想的な批判が全く的を射ていないことを、これをご覧の皆様にご理解いただきたいと思うのです。

私たちは、

  • 政府がイルカ猟を禁止し、イルカ猟に代わる健全な産業を振興していくこと。
  • 生け捕りにしたイルカの売買を禁止し、水族館などにおける展示も段階的に廃止していくこと。
  • 生物多様性基本法(平成二十年六月六日法律第五十八号)の基本原則に基づき、領海内のイルカを適切に保護していくこと。
  • などを、政府に対し、粘り強く要請していきます。

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